コロナ月間

 気が付けば5月。世間ではコロナに始まり、コロナに終わった4月。
 係長補佐は、いつも通り畑仕事の日々でした。

 4月も半ばを過ぎると、ようやくニンニクの虫食い被害も落ち着いてきました。
ニンニク虫を某専門機関に調べてもらったところ、ネギオオアラメハムシという虫が候補に上がってきました。地域によっては絶滅危惧種に指定されているくらい珍しい虫だそうです。
 毎年潰しまくっている私が、絶滅の引き金を引いてしまうことになるのかもしれません。そうなる前に段ボール箱に詰めて絶滅しそうな地域にお送りしたいものです。

 ニンニク虫は小さいニンニクをほとんど食い尽してしまいましたが、被害を免れた大きめのニンニクは、ますます大きく成長中。今年も革命家のおじさんが畑に来ていたので、ニンニクと並んで写真に写ってもらいました。
 昨年CIAの狙撃を受けて怪我をした額も、傷跡が目立たなくなりました。もはや、おじさんはニンニクの大きさを計ることが使命だと感じているようです。
 とっくに革命家のおじさんの享年を超えた私は、彼をお兄さんと呼ぶべきかもしれませんが、子どもの頃から甲子園を見て育った野球好きの人が、大人になっても高校球児を年上に感じてしまうのと同じような心理でしょうか。未だに革命家のおじさんを年上のように感じてしまいます。

 コロナ騒動による輸出規制や労働力不足、アジアやアフリカでのバッタの大量発生も加わり、食糧危機が来るのではないかと囁かれていますね。
経済活動の自粛に伴う倒産や失業で、餓死する人も出てくるのではないでしょうか。人類全体を考えれば焼石に水にすらなりませんが、誰かの助けになることがあるかもしれないと、今年はジャガイモを少し多めに植え付けときました。

 一か所、ジャガイモを植えた畝の隣に種採り用のルッコラが元気よく上に伸びてきて、ジャガイモの畝はすっかり日陰になってしまいました。

 他の畝のジャガイモはもう大体発芽して成長中ですが、その畝はなかなか芽が出てきません。

 コロナ騒動がなければジャガイモとルッコラとの間の争いもなかったかもしれません。コロナについては色んな人が色んなことを言ってますね。
 マスメディアはウイルスの危険性を実態以上に強調して恐怖を煽っているのか、逆にもっと深刻な状況を隠蔽してるのか。ワクチンは救世主なのか、それとも誰かがワクチンで儲けたり、ワクチンを打って人を病気にしたりしようと目論んでいるのか。ロックダウンは死者を減らしているのか増やしているのか、日本はもっと厳しく経済活動や社会活動を規制すべきなのか、規制なんてやめちゃった方がよいのか。病気の蔓延は本当にウイルスだけが原因なのか。情報が錯綜する中で監視し合ったり批判し合ったり、分断や対立が生まれているように思います。
 人は自分の信じたいことを信じるし、その信念を補強するデータや仮説を集めがちですが、全ての一次情報を自分で取ってきて、全ての仮説を自分で検証した人はいないと思います。
 誰も皆、自分の狭い経験と、誰かの仮説とを組み合わせて信仰を作り上げているだけです。信仰の違う人同士でなかなか議論は噛みあいません。

 時には自分の信仰を疑いつつ、それぞれの信仰を尊重しあっていけるとよいのでしょうけれど、お互いに「人の命がかかっている」「自分に正義がある」と思うとなかなか譲れません。だけど、そもそも今の世界に生きているということは、多かれ少なかれ意識せずにたくさんの人の命を奪っていることだと思います。
 たとえば、自分の消費した食品や電気や紙や木材、パソコンやスマホがどこで作られ、どうやって来たのか調べてみて下さい。
 ほとんどの人が間接的に先住民の住む森を奪ったり、どこかの支配者層が貧しい誰かの土地を占領したり汚染したりすることに関わっている筈です。
 もちろん係長補佐もこうした犯罪にたくさん加担しています。
 しょせん自分も犯罪者の一員と意識すれば、自分に正義なんかないと思えないでしょうか。そうしたらもしかして、自分と信仰の違う人が何を大事にして、誰の命を守りたいのかが見えてきて共感できたり、自分の認識の間違いに気づいたりすることもあるかもしれません。

 ボンクラの係長補佐には何が真実なのか分かりませんが、ひとつ確信しているのは皆遅かれ早かれ死ぬこと。死んだ後どうなるのかは知りませんが、今の人生は必ず終わります。病気になって死にそうになったら、私も生に執着すると思いますが、死んだらその時が寿命です。
 100年で死のうが、20年で死のうが、死の間際に振り返れば一瞬の夢のようなもので大差はないでしょう。大切なのは長さではなく、どれだけ命を充実させられるかということ。だから係長補佐は、太陽の光を浴び、自分が身体にいいと思うものをよく食って、よく寝て、楽しく過ごせば免疫力がアップするという信仰を持って、死ぬまで生きていくつもりです。