無収穫の夏

8月も時空にゆがみが生じ、一瞬で9月に。
そこからも色んなことがあって、名誉係長が脱走したり、PCがおかしくなったりしている内に時は更に速度を増し、もう9月8日になってしまいましたが、8月の報告です。

8月に入ってようやく長い梅雨が明けたと思ったら、今度は近年お決まりのカラカラ日照りの灼熱地獄。
生き物にとってはなかなか厳しい気候です。
サトイモや今年初めて植えてみたヘチマなど、水分をたくさん必要とする作物たちは元気でしたが、夏野菜の殆どは大苦戦。
スイカは小さな実しかつけず、カボチャやズッキーニは長雨の期間に枯れてしまったり、その後も殆ど実をつけないままだったり…。
私はかつて、無農薬、無肥料、無収穫という革新的な三無農法を実践していましたが、この農法にはかなりの精神力が求められます。私は収穫出来ない辛さに耐えきれずに、無収穫を断念しました。しかし、この夏の収穫は当時に戻ったような惨状でした。

長雨にも日照りにも負けずに雑草ははびこります。生い茂った雑草の中で、葉っぱの枯れた弱々しいカボチャやスイカのツルは埋もれてしまいます。灼熱の炎天下、朦朧とする意識の中で草を刈り、作物のツルを何本か刈ってしまいました。その中には唯一実をつけていたカボチャも!

この時の係長補佐は頭がどうかしていたのでしょう。いつもどうかしているという説はさておき、生まれたての赤ん坊を洗脳して支配者を退治させようなんて恐ろしいことです。

こうして心の中の鬼を退治した係長補佐は、己の来し方を振り返ってみました。

私こと係長補佐が自然農法を始めた理由は色々ありますが、ひとつは肥料もやらず耕しもしない農法が、面倒くさがりの私には楽チンで魅力的に見えたこと。しかし、日々草刈りに追われているのに、ろくに収穫も出来ずにいると、何かが間違っていたんだろうかと思えてきます。
前にも書いたかもしれませんが、のび太君に「勉強して発明するんだ。勉強しなくても頭のよくなる機械を」という名言があります。私も「頑張って極めるんだ。頑張らなくても収穫できる農法を」という心理なのでしょうか。楽をしようとして余計に苦しくなる。人間が農耕を始める前、狩猟採集生活だった頃の労働時間は農耕を始めた後より短かったそうです。楽にしよう、便利にしようとすると、どんどん労働時間は増えていく。そうして文明は発展してきたし、それが人間の性なのかもしれません。
もっと頑張らずに頑張るにはどうすればいいのか?
「雑草という名の植物はない」んですが、オオブタクサやカラムシ、メヒシバなどなど意図せず勝手に蔓延る植物を雑草とするなら、どんな天候でもとにかく元気なのが雑草。
そして、係長補佐が植えた作物の中で、雑草化してもっとも元気になってるのはキクイモ。要注意外来生物に指定されるくらい、ほっておくとどんどん蔓延る植物です。
「野生農園」だけに、いっそこういう野生的な方々にもっと頑張ってメインを張って頂く方向に進むのもいいのかもしれません。